マーケティングのキホンの「キ」だと思っていること

そもそもマーケティングとは?

 「マーケティングとは製品と価値を生み出して、他者と交換することよって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるための総合活動」とマーケティング○.0の著者、フィリップ・コトラーは述べています。そんなマーケティングに関してと、これまで学んできたことをツラツラ書いていきます。

 

 

マーケティングを行う上での前提の整理

 「マーケティング始めるよ~」と言ったなら、まずは改めて事業を見つめ直してみることが大事です。考え方としては、以下の通りです。

 

~根本的な考え方~

1.目的は?(イメージ:達成するべきミッションは?)

2.目標は?:(イメージ:誰に売るか?)

3.戦略は?:(イメージ:何を売るか?)

4.戦術は?:(イメージ:どうやって売るか?)

 

 「1」「2」においては、市場・ターゲットの話で、大雑把に言うなら外部要因に関してまとめます。「3」「4」を大雑把に言うなら内部要因に関してまとめます。

 

 

マーケティングを行う上での前提の整理~外部要因偏~

 外部要因に関してまとめるということで、まずは市場を言語化=定義します。市場を定義するには、「対象となる市場とは?」の選定基準が必要となりますので、参考にして欲しい要素としては、以下です。 

 

~市場の選定基準~

1.市場における課題(ニーズ)が明らかである

2.市場におけるトレンドがはっきりとしている

3.市場における代替可能な顕在化された価値がある

 

 どの要素でも良いので、はっきりと言語化できると「確かににその市場でいいね!」って話しになります。

 

 市場の定義がザックリできたなら、次は市場を分析していきます。その過程で、市場とセットでターゲットに関しても定義します。市場とターゲットは以下の要素で分析できると良い感じになります。

 

~B2C向けの事業・商材の場合~

・地域的変数

 - 対象となる土地・人口・気候など

デモグラフィック変数

 - ターゲットの性別・年齢・すんでいる地域・所属など

・サイコグラフィック変数

 - ターゲットライフスタイル・価値観など

・行動上の変数

 - 使用機会・ベネフィット・ユーザーの状態・ロイヤリティ・商材に対する態度など

 

B2B向けの事業・商材の場合

デモグラフィック変数

 - 対象となる会社規模・所在地など

・オペレーティング変数

 - 対象となる顧客の能力など

・購買アプローチ変数

 - 対象となる会社の購買方針・購買対象の体制など

・状況的要因の変数

 - 対象となる会社における緊急性など

・個人的特長の変数

 - 対象となる会社のリスクに対する態度・ロイヤリティなど

 

 

マーケティングを行う上での前提の整理~内部要因偏~

 次に「何を売るか」また、どうやって売るかを外部要因でまとめた要素を念頭に置きながら、整理していきます。

 

 何を売るか考える際に、大事なのが他の商材との差別化ポイントです。ここでまた、フィリップ・コトラーの言葉を借りるなら「差別化とは自社の提供物と競合の提供物と識別するために、一連の意味のある違いをデザインすること」と述べています。

 

 では、どのように違いをデザインすれば良いか、差別化ポイントとなる要素を洗い出してみました。

 

~商材の差別化ポイント~

・製品の差別化
- 機能特徴/成果/品質/耐久性/信頼性/デザイン
・サービスの差別化
- サポート/保証/対応スピード
・スタッフの差別化
- 能力/専門性/丁寧さ/信頼感/レスポンスの速さ/コミュニケーション力
・イメージの差別化
- シンボル/空間/関連イベント
・チャネルの差別化
- 流通チャネルのカバレッジ/専門性

 

 差別化のポイントを決めるために、市場やターゲットから見た競合のポジショニングを可視化することもオススメです。狙っている市場やターゲットに既に競合が提供している価値を可視化することで、自社が採用するべき差別化ポイントが明確になります。この時に、以下の様なポジショニングマップを作り、競合をプロットしていきましょう。

f:id:shampoo_usg:20171224233225p:plain

ポジショニングマップ

 差別化ポイントから、何を売るかザックリ考えた後は、最後に対象とする市場とターゲットにどうやって売るかを決めます。売り方=攻め方の例としては以下の様な方法があります。事業規模や予算などから最適な攻め方を決めましょう。

f:id:shampoo_usg:20171224222923p:plain

販売戦略

 

マーケティング行う上での前提の整理~最後に振り返り~

 マーケティングを行う上での前提の整理ということで、「目的」「目標」「戦略」「戦術」をまとめてきましたが、最後に同じ観点で、対象の市場の規模・成長性・収益性・規模の経済性・リスクを再検討し、自社の目的・資産から対象の市場に対して、ターゲットに対して提供できる価値を再確認しましょう。

 

 

より具体的なマーケティング戦略の考え方~4P戦略&顧客視点~

  前提の整理が終わった後は、より具体的なマーケティング戦略を考えていきます。この時に用いるフレームワークは、「4P戦略」です。ここで大事なのが自社の視点だけでなく、顧客視点からも4P戦略を考えることが大事です。

 

 一般的な4P戦略は、「Product(どんな製品を販売するか)」「Price(いくらで販売するか)」「Promotion(宣伝をどのように行うか)」「Place(どういったルートで顧客に届けるか)」です。ここに更に、顧客視点を加えていきます。

 

 

4P戦略における ~Product(どんな製品を販売するか)

 まず、Product(どんな製品を販売するか)においては、顧客視点として「顧客にとっての価値とは何か?」を考えます。具体的には「Productが満たすべき顧客のニーズとはなにか?」です。大雑把に考えるなら以下の様に、4つにニーズは分解できます。

 

具体例)パンを焼きたいというニーズに対して考えると・・・

※一般製品=トースター

 

・中核ベネフィット製品

 - パンを焼くための製品(≒トースター)

・期待されたにニーズに答える製品

 - きつね色に焼き目がつくトースター

・拡大されたニーズを満たす製品

 - 電子レンジ兼トースター

潜在的なニーズを満たす製品

 - トースター機能付き情報家電

 

 ターゲットを分析し、ニーズを洗い出すことで、より具体的にProductを検討することが出来ます。

 

 

4P戦略における ~Price(いくらで販売するか)

 次に、Price(いくらで販売するか)においては、顧客視点として「顧客はどれだけ負担できるか?」を考えます。

 

 価格を決める作業には様々な要素があります。まず、市場規模はどれくらいか?市場におけるリーダーの状況はどうなっているか?その中でシェアをどれくらい取れるか?市場における生存率はどれくらいか?経常利益はどれくらい出るか?と言った分析から始まります。更に、コストの見積もりとして生産水準の把握なども欠かすことは出来ません。

 

 ただ、最終的には対象のProductに対して顧客がどれだけ負担が出来るかの問題なので、顧客の需要分析土地や文化における風習価値を把握と言った事も大事になります。

 

 最終的にどうやって価格を決めるか、考え方として以下の様なフレームワークがあります。いくらで販売するかの要素が強い考え方から、顧客にとっての負担という考え方が強くなる順に並べてみました。

 

~価格決定のフレーフワーク~
マークアップ価格設定
- 原価に対してある一定の利益率や利益額を加えた価格設定方法
・ターゲットリターン価格設定
- 単位コスト+ {(期待収益×投下資本)÷販売台数}
・現行レート価格設定
- 競合の現在の価格から、更に競争を促す価格設定にする
知覚価値価格設定
- マーケティング・リサーチなどにより、「売れる価格帯」を発見し、原価がそれよりも高い場合には、コスト削減や製品仕様の見直しなどを行い、その価格帯に原価を近づける手法
心理的価格設定
- あえて高い価格設定を行い、品質レベルを上げる判断材料としたり、1,000円を980円と設定し、安く感じさせたりすること
・バリュー価格設定
- 顧客の期待値とコストの間で価格設定を行う

 

 

4P戦略における ~Promotion(宣伝をどのように行うか)

 次に、Promotion(宣伝をどのように行うか)においては、顧客視点として「コミュニケーションどう作るか?」を考えます。

 

 まず、Promotionを設計する上で基本となる5つ「M」があります。「目的(Misson)」「予算(Money)」「伝える内容(Message)」「媒体(Media)」「評価(Measurement)」です。基本的にPromotionを設計する場合、この5つの要素を基準に考えます。

 

 ただ、現代において、Promotionは生活の至る所で行われ、その情報量は膨大です。そのため、ほとんどの「Promotion=情報」は無視され、消費者には届いていないと思いましょう。そんな中で、Promotionを行う場合、受けての視点を重要視する必要は言うまでもないはずです。「どんなメッセージを、いつ・どこで・どうするば、受け取ってもらえるか」という発想で戦略を構築します。

 

 更に、最終的に顧客の行動に対してどのような影響を与えたのか、ターゲットユーザーと関係値を築けたか(それが最終的にどう目的に影響するか)などの長期的な視点を持って、Promotionを設計、分析する必要があります。

 

 そして、様々な手段を用いて行うPromotionにおいて、それぞれの手段でProductの一部の理解をさせるのではなく、されぞれの手段で一貫したメッセージを届けることを意識し、各コミュニケーションを横断的に管理することも大切になります。

 

 

4P戦略における ~Place(どういったルートで顧客に届けるか)

 次に、Place(どういったルートで顧客に届けるか)においては、顧客視点として「入手の容易さ」を考えます。

 

 入手の容易さを設計するためには、流通経路としてどんな選択肢が持てるか洗い出し、必要なチャネル数を確認します。大事なのは、各チャネルにおいてチャネルメンバーに求める条件と責任を明確することです。

 

 チャネルを繋ぐチャネルアレンジメントは完璧でも、各チャネルにおいて、何が上手くいっていて、何が上手くいっていないか、分析を行う際に、求める条件と責任を明確にすることで、評価を行うことができ、改善が行いやすくなります。

 

 

最後に~マーケティングが事業与える影響とは?~

 ここまで、マーケティングのキホンの「キ」として、様々な考え方を説明してきました。最後まで読んで頂いた方は理解して頂けるも知れませんが、マーケティングは単に事業の指標を伸ばす手段ではなく、事業を作る上で根本的な考え方となります。

 

 更に、最後にお伝えしたいこととして、マーケティングは売上を伸ばす大きな手段にもなります。詳しくは以下の図をご覧ください。

f:id:shampoo_usg:20171225004939p:plain マーケティングを行うことによって市場の「需要数量」を増加させることが可能です(①)。また、マーケティングの効果がもたらす「需要数量」の変化は、価格変動をおこすこともあります(②)。更に、マーケティングでブランド価値を引き上げことも可能であり、それにより価格変動を起こすことも可能です(③)。結果として、マーケティングにかける費用と時間は単なるコストではなく、売上を伸ばす大きな要素となるので、どんどんマーケティングに予算と時間を費やして欲しいです。